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京都簡易裁判所 昭和59年(ハ)1152号 判決

原告

有限会社ジャストコンシューマーファイナンス

右代表者

大西陽子

右訴訟代理人

吉岡大助

被告

長沢政弘

被告

長沢門美子

主文

一、被告らは連帯して原告に対し、金五万三四四〇円とこれに対する昭和五九年四月二〇日から支払ずみまで年三割六分の割合による金員を支払え。

二、原告のその余の請求を棄却する。

三、訴訟費用はこれを五分し、その一を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。

四  この判決は一項にかぎり仮に執行することができる。

事実および理由

一請求の趣旨

1  被告らは連帯して原告に対し、金五万七六七八円とこれに対する昭和五九年四月二〇日から支払ずみまで年三割六分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行宣言。

二請求原因の要旨はつぎのとおりであつて、被告らは口頭弁論期日に出頭せず請求原因事実を自白したものとみなされる。

1  原告は貸金業規制法に基き京都府知事より登録をうけ(京都府知事(一)一八号)貸金業を営んでいる貸金業者である。

2  原告は被告長沢政弘に対し、昭和五九年二月二四日金九万円を、弁済期同年七月五日、利息の割合七割三分(日歩二〇銭)、弁済方法同年三月五日を初回として毎月五日限り元利金均等払で金一万八〇〇〇円ずつ五回割賦弁済、損害金の割合年七割三分(日歩二〇銭)、特約右分割払不履行の場合期限の利益を喪失する旨の約定で貸付けた。

3  被告長沢門美子は原告に対し、昭和五九年二月二四日右被告長沢政弘の債務全額につき連帯保証する旨約した。

4  原告は昭和五九年二月二四日貸金業規制法第一七条に基く契約書面を被告らにそれぞれ交付した。

5  被告らの毎回の返済金における受取証書は、原告の指定する銀行口座への振込金受取書をもつて貸金業規制法第一八条にある受取証書としている。また同法第一八条二項につき被告らより受取証書交付の請求がなかつた。

6  被告らは昭和五九年三月五日の分割金支払を怠つたので期限の利益を失つたが、別紙計算書(一)のとおり任意に支払つた。

よつて原告は利息制限法に換算し、被告らに対し連帯して貸付残元金五万七六七八円とこれに対する昭和五九年四月二〇日から支払ずみまで年三割六分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

三ところで貸金業者が利息制限法の制限額を超える利息および損害金の支払について貸金業の規制等に関する法律第四三条のいわゆる「みなし弁済規定」の適用を受けるためには、その要件として債務者が預金口座払込の方法により弁済する(右法律第一八条二項)場合においても、貸金業者が右法律第一八条一項所定の受取証書を交付したとの事実の主張を要するものと解されるが、原告は本訴請求においてその主張をなさない。

すると原告は右「みなし弁済規定」の利益を受けることができないから被告の弁済額は利息制限法所定の利率にしたがい別紙(二)のとおり利息、損害金を計算して元金に充当すると昭和五九年四月二〇日現在の残元金は金五万三四四〇円となる。

四よつて原告の本訴請求は貸付元金五万三四四〇円とこれに対する昭和五九年四月二〇日から支払ずみまで年三割六分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 (西田治夫)

別紙(一) 貸付残高計算書

貸付日  昭和59年2月24日

貸付金額  金  90,000円

▲マークは損害金の表示である利損とは利息又は損害金の表示

10万未満=20% 40%

100万未満=18% 36%

100万以上=15% 30%

回次

返済日

日数

利率

返済額

発生利損

受取利損

元金内入額

貸付残金

未収利損

1

59・2・24

0

73

20,000

, 0

, 0

20,000

70,000

△  ,

59・3・5

10

73

(失期の日)

1,396

,

70,000

△  ,

2

59・4・19

45

73

20,000

▲ 6,286

▲ 7,678

12,322

57,678

△  ,

3

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4

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別紙(二) 一覧表

貸付日   59.2.24

貸付金額  9万円

(昭和)年月日

支払額

(円)

日数

法定利息

損害金(円)

元金充当分

(円)

残元金

(円)

備考

利率

59.2.24

20,000

0

0

20,000

70,000

59.3.5限り失期

59.4.19

20,000

10

45

344

3,096

16,560

53,440

年18%

36%

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